和歌山 · 紀伊半島
淡嶋神社
港町・加太の海辺に建つ、女性の健康を祈る神社。奉納された推定2万体もの人形が社殿や回廊を埋め尽くす、和歌山でも屈指の異色の光景が広がります。
お化け屋敷ではなく、人形供養の場
淡嶋神社の人形は、肝試しの見世物ではありません。日本では人形に持ち主の思いが宿ると感じる人が多く、人形供養はそれを敬意をもって手放すための儀式です。人形は本殿でお祓いを受け、やがて境内の浄火で焚き上げられます。回廊や社殿、棚に並ぶ人形はおおむね種類ごとにまとめられており、その数の多さにまず圧倒されます。
淡嶋神社の起こりは、対岸の島と結びついています。神社によれば、三韓出兵からの帰途に嵐に遭った神功皇后が導かれてたどり着いたのが、少彦名命と大己貴命を祀る友ヶ島でした。のちに孫の仁徳天皇が社を対岸の加太に移したのが3月3日で、神社はこれを雛祭りの日付の由来としています。また、男雛・女雛の始まりは、当社の少彦名命と神功皇后の一対の神像だと伝えています。起源とされる友ヶ島の神島は厳重に保護されており、上陸できません。
紀州徳川家も当社を篤く崇敬しました。姫君が生まれると初節句には必ず一対の雛人形が奉納され、境内の白い雛倉は十代藩主・治宝が建立したものです。徳川家ゆかりの雛人形や宝物を納めた宝物殿は、団体予約のみの公開です(大人300円・小人200円)。
加太生まれの豪商・紀伊国屋文左衛門が奉納したと伝わる紀文稲荷社や、彼のみかん船の帆柱もあります。願い事を唱えながら帆柱の穴をくぐり抜けると願いが叶うといわれます。少彦名命の使いである蛙を祀る遷使殿もあります。
淡嶋神社は、紀淡海峡に面した和歌山市北西端の小さな港町・加太の海辺にあり、南海加太駅から徒歩約20分です。参道には海産物や名物のつぼ焼き、よもぎ餅を売るみやげ物店が3軒ありますが、雨天時は休む場合があります。
近隣の宿泊先
加太は小さな温泉町で、港沿いのわずかな宿が神社に最も近い宿泊先になります。
| 宿泊施設 | 1泊あたり(目安) | 特徴 | 予約 |
|---|---|---|---|
| 加太海月 | $120〜 | 加太の海辺に建つ温泉宿。海鮮中心の料理が名物で、友ヶ島汽船の乗り場まで徒歩数分、神社にも歩いて行ける距離。 | Booking.com → |
| 休暇村紀州加太 | $95〜 | 加太の外れの岬に建つ休暇村。海を望む温泉浴場があり、町なかの旅館より手頃な料金設定。 | Booking.com → |
訪問の前に
舟で人形を流す雛流しは、見た目ほど古い行事ではありません。県のアーカイブによると、舟に乗せて流す形は1962年に始まり、舟は1991年に2艘から3艘に増えました。
ほかの行事:2月8日11時からの針祭(針供養)では、使い終えた針をお祓いして針塚に納めます。7月31日日没からの夏越し祭では茅の輪をくぐり、10月3日11時からの甘酒祭では新米で作った甘酒が無料でふるまわれます。6月中旬〜7月7日のたなばた祭では、子ども向けに短冊が無料で用意されます。
人形を納めたい場合、ルールは厳格です。受付は9:00〜16:00で、仏滅の日、12月20日〜1月3日、2月20日〜3月3日は受け付けていません。お預かりは人形のみで、ガラスケースや箱、道具類は不可、郵送・宅配での受付もありません。供養料(志)と焼却委託料が必要です。
淡嶋神社はこぢんまりしており、20〜30分でひと通り見て回れます。多くの人は加太の港町散策や友ヶ島と組み合わせます。友ヶ島行きの船は同じ町の加太港から出ており、島は半日ほどみておくとよいでしょう。
神社に宿泊施設はなく、最寄りは下記の加太の温泉宿です。加太は紀三井寺や根来寺とは和歌山市の反対側にあるため、それらは別の日に回すのがおすすめです。エリア全体の回り方は和歌山市ガイドをご覧ください。
参拝時間・料金・主な行事
淡嶋神社の参拝は無料で、費用がかかるのは人形の奉納と宝物殿のみです。
| 項目 | 日時 | 備考 |
|---|---|---|
| 参拝・授与所 | 毎日 9:00〜17:00 | 無料 |
| 人形の受付 | 9:00〜16:00 | 仏滅の日、12/20〜1/3、2/20〜3/3は不可。郵送不可 |
| 宝物殿 | 団体予約のみ | 大人300円、小人200円 |
| 針祭(針供養) | 2月8日 11時〜 | 使い終えた針をお祓いし針塚へ |
| 雛祭(雛流し) | 3月3日 正午〜 | 舟の出発は13時10分ごろ。車での参拝不可 |
| 夏越し祭 | 7月31日 日没〜 | 茅の輪くぐり |
| 甘酒祭 | 10月3日 11時〜 | 甘酒の無料授与 |
淡嶋神社へのアクセス
南海和歌山市駅から加太線で加太駅まで約25分、駅から神社までは徒歩約20分です。JR和歌山駅からは、まずJR紀勢本線で和歌山市駅へ向かいます。
大阪・難波からは南海電鉄で和歌山市駅乗り換え、加太駅まで約100分。関西空港からは南海電鉄で泉佐野・和歌山市駅で乗り換え、約70分です。
車の場合、阪和自動車道和歌山ICから約40分。有料駐車場があり、参拝者は30分割引になります(駐車券を授与所に提示)。3月3日は車での来訪を避けてください。