和歌山 · 紀伊半島
友ヶ島
淡嶋神社のある港町・加太からフェリーで20分の無人島。1890年代に築かれたレンガ造りの砲台が、100年以上かけて森に還りつつある姿は、スタジオジブリ『天空の城ラピュタ』のファンを惹きつけています。
観光用の作り物ではなく、実在した要塞
友ヶ島の砲台は、実際の軍事拠点でした。和歌山と淡路島の間の紀淡海峡は大阪湾への最も広い入口で、黒船来航のころには紀州藩が幕命により友ヶ島奉行を置いています。明治に入ると旧陸軍が海峡の両岸に由良要塞を整備し、主島の沖ノ島には1889年から1905年にかけて5つの砲台が築かれ、約600人の兵が駐屯しました。1945年の終戦まで、一般の人は島に立ち入ることができませんでした。
砲台はそれぞれ役割が異なります。第1・第2・第5砲台は、海峡を通過する敵艦を水平に近い弾道のカノン砲で狙う「要撃砲台」。高台の第3・第4砲台は、観測所の指示で榴弾砲を放物線状に撃ち込む「砲戦砲台」でした。多くはイギリス積みの赤レンガ造りで、森に覆われた今、それが絵になる理由でもあります。
第3砲台跡は友ヶ島の最主力砲台で、保存状態も最も良好です。すり鉢状の砲座は360度の射界を持ち、独自の発電所や看守衛舎もありました。階段を下りると地下の砲弾貯蔵庫や揚弾装置のある施設を歩いて見学できます。真っ暗な場所や足元の悪い場所があるため、和歌山市は懐中電灯の持参を勧めています。第3砲台に隣接する弾薬支庫跡も人気の撮影スポットです。
ほかの砲台跡の状態はさまざまです。灯台の隣にある第1砲台跡の内部は海上保安庁の管理で、普段は入れません。海岸沿いの第2砲台跡は終戦時に米軍によって一部爆破され、台風の波でも浸食が進み、内部は立入禁止ですが外から眺められます。第4砲台は完成からわずか14年後の1906年に廃止されたため、戦後の武装解除で破壊されずに原型をとどめています。
友ヶ島灯台も歩いて訪れる価値があります。英国人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計で、1872年6月25日に初点灯した、日本初期の石造りの洋式灯台です。当初は現在より25m海側に建っていましたが、要塞建設のために移設されました。今も現役で、国の登録有形文化財です。
友ヶ島は、和歌山市沖の架空の島を舞台にしたアニメ「サマータイムレンダ」(2022年)のファンも訪れる場所で、和歌山市はゆかりの地としてPRしています。商用でない撮影はコスプレを含め自由にできますが、島内に更衣室はありません。
沖ノ島の見どころ
フェリーは沖ノ島の野奈浦桟橋に着きます。桟橋から巡る定番コースは3.3kmで、歩行時間は約1時間20分、見学を含めると約2時間30分です。
| スポット | 野奈浦桟橋から | 見どころ | 備考 |
|---|---|---|---|
| 第3砲台跡・弾薬支庫跡 | 約0.9km・上り20分 | レンガのトンネル、地下弾薬庫、すり鉢状の砲座 | 懐中電灯があると安心 |
| タカノス山展望台 | 第3砲台跡のすぐそば | 紀淡海峡、晴れた日は四国・六甲・和泉葛城の山並み | 展望台あり |
| 孝助松海岸 | さらに1.0km・20分 | コース途中の海岸 | 島内はすべて遊泳禁止 |
| 友ヶ島灯台・第1砲台跡・子午線広場 | さらに0.3km・10分 | 1872年のブラントン灯台、残された観測所 | 第1砲台内部は立入不可(海上保安庁管理) |
| 第2砲台跡 | さらに0.3km・10分 | 崩れた海沿いの砲台の壁 | 内部は立入禁止、外から見学 |
訪問の前に
島での滞在は3時間ほどみておきましょう。島発16:30の便が加太港への最終便です。これより後の便はないため、時間には気を付けてください。
事前予約は受け付けていません。1便の定員は100名で、第2便以降は加太港で当日分の乗船整理券が配布され、繁忙期は早々に配布が終わることもあります。乗りたい便より早めに港へ着いておきましょう。往復運賃は2026年7月1日から大人2,800円に改定されました(こども1,250円は据え置き)。手荷物1個は無料、自転車は1,000円です。カードが使えるかは運航会社のサイトに記載がないため、現金を用意しておくと安心です。
荒天時は欠航し、その判断は当日朝に行われます。出かける前に友ヶ島汽船のサイトやXで運航状況を確認してください。渡れない場合、和歌山市は加太の本土側にある深山砲台跡を代わりの見どころとして紹介しており、同社は島の周りを巡る友ヶ島クルーズも運航しています。
島のルール:海水浴場はなく遊泳禁止、ペットは介助犬・盲導犬などを除き持ち込み不可、火気はバーベキュー可能エリア以外では使用禁止です。南垂水広場でのキャンプは利用日の5日前までの予約制。虎島と深蛇池は見学できず、神島への上陸もできません。島の上空は関西空港の飛行ルートにあたるため、ドローンを飛ばす場合は事前に大阪航空局関西空港事務所への相談が必要です。
数多くの人形が奉納された淡嶋神社は同じ加太の町にあり、フェリーの前後に組み合わせやすい場所です。拠点選びは和歌山市ガイドをご覧ください。
友ヶ島汽船:運航時刻と運賃
友ヶ島へ渡る唯一の船・友ヶ島汽船は、加太港と野奈浦桟橋を片道約20分で結んでいます。
| 期間 | 運航日 | 加太港発 | 友ヶ島発 |
|---|---|---|---|
| 3月〜12月 | 水曜日運休(祝日の場合は運航) | 9:00、11:00、13:00、16:00 | 9:30、11:30、13:30、16:30(最終便) |
| GW(4月下旬〜5月上旬)・7月20日〜8月31日 | 毎日運航(水曜日も運航) | 10:00・15:00の臨時便あり(15:00便はお迎え専用で日帰り散策には利用不可) | 10:30・15:30の臨時便あり |
| 1月〜2月 | 土・日・祝日のみ(12月29日〜1月3日を除く) | 9:00、11:00、13:00、16:00 | 9:30、11:30、13:30、16:30 |
| 運賃(2026年7月1日から) | 往復 | 大人2,800円、こども1,250円 | 片道 大人1,400円、こども620円 |
友ヶ島へのアクセス
南海和歌山市駅から加太線で加太駅まで約25分、そこから加太港まで徒歩約20分です。大阪・難波から加太駅までは約100分、関西空港からは南海電鉄で泉佐野・和歌山市駅で乗り換えて約70分です。
加太港から友ヶ島汽船で沖ノ島の野奈浦桟橋まで約20分。始発は9:00で、週末や夏は早めに港へ着いておきましょう。
車の場合、阪和自動車道和歌山北IC(大阪方面からのみ利用可)から約40分、和歌山ICから約45分です。加太港駐車場は1日700円。GWや夏休みは加太周辺の道路が混雑するため、電車の方が確実な場合が多いです。