和歌山 · 紀伊半島
あら川の桃
和歌山は西日本一の桃の出荷量を誇り、その代表ブランドが紀の川市の一地区から生まれています。「あら川の桃」の名は商標と地理的表示(GI)で守られており、品種ではなく産地を表す名前です。
品種ではなく、商標
「あらかわ」は、紀の川南岸にあるこの地域の古い地名に由来します。平安時代から「荒川」、明治以降は「安楽川(あらかわ)」と書かれ、1956年に安楽川村など3村が合併して「桃山町」が誕生しました。桃の栽培は1782年(天明2年)に摂津国池田(現在の大阪府池田市)から桃の木を導入したのが始まりとされ、明治時代には近隣の村々にも広がりました。
「あら川の桃」「あらかわの桃」の名称は1994年7月29日に特許庁へ商標登録されました。その後も他産地の桃に名前が使われる例があったため、2002年1月に生産者が「あら川の桃振興協議会」を設立し、出荷基準を統一しました。2023年には国の地理的表示(GI)に登録され、桃山町と隣接する竹房地区で協議会の基準を満たした桃だけが名乗れるようになっています。基準に満たない果実は、あら川の桃の箱には入らず加工用に回されます。GIの登録情報によると、色づきと大きさがそろっていることから市場で高値で取引され、特に贈答用として人気があり、傷みにくく日持ちが良いことでも知られています。
紀の川流域は西日本随一の桃の産地で、和歌山県には「あら川の桃」のほか「紀の里の桃」「高津の桃」「かつらぎの桃」の4つの地域ブランドがあります。最新の統計では県全体の収穫量は約6,580トンで、山梨県・福島県には及びませんが、西日本ではどの県よりも多い量です。
桃のリレー:どの品種がいつ採れるか
「桃の日」は一日ではありません。早生から晩生へと順に出荷されるので、出会える桃は週ごとに変わります。
| 品種 | 収穫時期 | シーズン中の位置 |
|---|---|---|
| 日川白鳳 | 6月中旬〜下旬 | シーズンの幕開け |
| 白鳳 | 7月上旬〜中旬 | 前半〜中盤 |
| 清水白桃 | 7月中旬〜下旬 | 中盤〜後半 |
| 川中島白桃 | 7月下旬〜8月中旬 | シーズンの締めくくり |
訪問の前に
あら川の桃を確実に買うなら、桃山町の「桃山特産センター」が便利です。あら川の桃や桃の加工品を販売しており、営業は9:00〜17:00、6月〜8月中旬は無休です。紀の川ICから車で約15分の、車向けの立地です。
かつらぎ町のもも狩り期間は農園ごとに異なります。かつらぎ観光協会の最新の掲載では、林農園が6月25日〜7月25日(中学生以上2,500円・45分)、名山農園が6月中旬〜8月下旬、阪口農園が7月の2週間弱(中学生以上2,800円・60分)でした。いずれも農園へ直接電話予約で、持ち帰りの追加分は別料金です。
訪問前には必ず農園に電話してください。品種がリレーで移り変わるので、その週に何が食べ頃かは農園が一番よく知っていますし、天候によって予定が変わることもあります。
春に訪れるなら、目当ては桃の花です。3月下旬〜4月上旬、桃山町の紀の川沿いの堤防に広がる「桃源郷」の桃畑がいっせいに開花し、「ひと目十万本」と呼ばれる眺めになります。「かおり風景100選」にも選ばれています。観覧は無料で、3月中旬〜4月上旬には臨時駐車場(9:00〜17:00)が開設され、4月上旬には「桃山まつり」が開かれます。桃畑は私有の農地なので、道から外れず、ごみは必ず持ち帰ってください。
紀の川市は内陸にあり、白浜や熊野へ向かう海沿いのくろしお路線ではなく、JR和歌山線沿いです。桜が同じ3月下旬〜4月上旬に見頃を迎える隣の岩出市の根来寺や、さらに上流の高野山と組み合わせやすい立地です。有田みかんやみなべの梅を含む和歌山の果物カレンダーはベストシーズンガイドをご覧ください。
紀の川市へのアクセス
桃山町の桃源郷の花を見るなら、JR和歌山駅から和歌山線で下井阪駅へ(約22〜28分)、そこから紀の川を渡って徒歩約30分です。桃山町内に駅はなく、タクシーは一駅東の打田駅のほうが見つけやすいです。
かつらぎ町でもも狩りをするなら、和歌山線で笠田駅まで(和歌山駅から約40〜50分)。多くの農園は笠田駅から車で約5分、名山農園は徒歩約28分です。桃畑は駅前ではなく農地に点在しているため、車があると格段に楽になります。